たとえ君が・・・
「大丈夫です。歩けます。」
「何言ってんだよ。足、力はいらないんだろ?」
渉はそういうと多香子の体を抱き上げた。
「ちょっ!」
多香子が降りようと抵抗しても渉はびくともしない。

渉の力にかなわないと思った多香子は静かに渉の首に手をまわした。

屋上を出て階段を降り渉は5階の会議室に入った。電気をつけて会議室の壁際にあるソファに多香子を寝かせた。
「待ってろ。動くなよ。」
そういうと渉は会議室を出ていく。

多香子はまだしびれている手をギュッと握りしめ目を閉じた。

また、渉に迷惑をかけている・・・。

そんなことを考えているといつの間にか眠りに落ちていた。
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