たとえ君が・・・
多香子が目を覚ますと、すぐに会議室の椅子に座り腕を組んで眠っている渉が目に入ってきた。

視線を移すと自分の腕に点滴していた跡がある。すでに点滴は終わっていて、机の上に処置に使用した道具が置かれていた。

もう手足のしびれも感じない。

多香子は渉を起こさないように静かに立ち上がり自分にかけられていた毛布を渉にかけた。

また寝ぐせ頭・・・。

この数日ろくに眠っていなかった渉・・・。
目の下のクマが大きくなっている。

「ありがとう・・・。」
多香子はそう告げると処置に使用した道具を持ち会議室を出た。

多香子が会議室を出てから、渉はそっと目を開けた。
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