たとえ君が・・・
特に命日は多香子が悲しみを思い出し切なさが蘇る日だと知っている渉は、多香子を一人にしたくなかった。

「着いたぞ。」
そう言って渉が車を停めてついたのは、小さな洋食店だった。
「ここ・・・」
「好きだったろ?ここのオムライス。」
そういうと渉は先に店内に入っていく。
「2名。禁煙席で。」
店員にそう告げて先に歩いていく。
そしてメニューを手にするよりも先に、
「オムライスふたつとホットコーヒーふたつとチョコレートパフェひとつ。飲み物は食前で、デザートは食後で。」
となれた口調で注文をした。

これが多香子と渉の二人で来るときの定番メニューだった。
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