たとえ君が・・・
願っても、望んでも消えてしまう命もある・・・


命が望んでもうまれくることのできない命もある・・・


無情な現実に多香子の心は痛んだ。


その患者は2日後に手術を予約して帰って行った。


「大丈夫か?」
渉の言葉に多香子は自分の両手を握りしめた。
「顔色悪い。」
渉は異変に気が付いて多香子を診察用のベッドに座らせた。
その手に触れるとかなり冷たい。
「しびれるか?」
「・・・少し。」
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