【番外編】イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。
「萌」
「……!」
名前を呼ばれた途端、世界が生まれ変わったみたいに鮮明になった気がした。
「萌、これでいいか?」
二度目に呼ばれた瞬間、込み上げてくるのは……。
――好き。
――私、学のことが好きになっちゃった。
もともと、友達として大好きだった。
それは愛ぴょんやケンケンに向ける『好き』と同じだったはずだった。
なのに、こんなにも……。
特別な『好き』ができてしまった。
「うれしい……もっと呼んで」
「安売りするつもりはないぞ」
「ええっ、学のケチ」
「もう二度と呼ばんぞ」
じとりと睨んでくる学に、私はへへっと照れ笑いを返す。
「お前は……まったく、目が離せないな」
優しい眼差しを向けてくる学は、潮風にあてられて冷たくなった私に手を添えた。
「手はかかるが、俺は萌の世話を焼くのが嫌じゃないらしい。困ったものだ」
無事に救助ボートに乗れた開放感からか、それとも私と同じ気持ちだからなのか。
学は私の頬に掠めるようなキスをする。
遠くに聞こえる波の音と潮風の香り。
高鳴る鼓動と学の体温。
これはきっと、私の恋の始まり――。
(END)
「……!」
名前を呼ばれた途端、世界が生まれ変わったみたいに鮮明になった気がした。
「萌、これでいいか?」
二度目に呼ばれた瞬間、込み上げてくるのは……。
――好き。
――私、学のことが好きになっちゃった。
もともと、友達として大好きだった。
それは愛ぴょんやケンケンに向ける『好き』と同じだったはずだった。
なのに、こんなにも……。
特別な『好き』ができてしまった。
「うれしい……もっと呼んで」
「安売りするつもりはないぞ」
「ええっ、学のケチ」
「もう二度と呼ばんぞ」
じとりと睨んでくる学に、私はへへっと照れ笑いを返す。
「お前は……まったく、目が離せないな」
優しい眼差しを向けてくる学は、潮風にあてられて冷たくなった私に手を添えた。
「手はかかるが、俺は萌の世話を焼くのが嫌じゃないらしい。困ったものだ」
無事に救助ボートに乗れた開放感からか、それとも私と同じ気持ちだからなのか。
学は私の頬に掠めるようなキスをする。
遠くに聞こえる波の音と潮風の香り。
高鳴る鼓動と学の体温。
これはきっと、私の恋の始まり――。
(END)