かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
私の身に降りかかったあまりにも突然の不幸、そして。
――芽衣ちゃんにも自分の生活があると思う、けど……どうか翔一の店を助けてくれないか?
縋り付くような叔父の言葉がぐるぐると今でも頭を離れない。
叔父の話によれば店の主を失ったスタッフが次々と店を辞め、売り上げも後退していてこのままではテナント契約が危ういらしい。そこで私のコンサルタントとしての力を借りたいということだった。
叔父も飲食店の経営者で近い将来、父の店がどうなるか想像がついたのだろう。そのことを日本にいる私の上司、加賀美さんに相談すると、『今のお前の精神状態じゃ仕事にならん、一旦に日本に帰ってこい』と言われた。
確かに……そうだよね。
ひとり親の父が残した店を差し置いて、このままパリで仕事を続ける自信がなかった。それにうちの会社には海外勤務を希望している社員も多い。私が帰国したとしても代わりの人材には困らない。
明日帰国かぁ、パリ生活も結構長かったな……。
私はパリで築き上げてきた基盤に別れを告げるという選択をして、父の店“パティスリー・ハナザワ”を守るべく帰国を決意したのだった――。
――芽衣ちゃんにも自分の生活があると思う、けど……どうか翔一の店を助けてくれないか?
縋り付くような叔父の言葉がぐるぐると今でも頭を離れない。
叔父の話によれば店の主を失ったスタッフが次々と店を辞め、売り上げも後退していてこのままではテナント契約が危ういらしい。そこで私のコンサルタントとしての力を借りたいということだった。
叔父も飲食店の経営者で近い将来、父の店がどうなるか想像がついたのだろう。そのことを日本にいる私の上司、加賀美さんに相談すると、『今のお前の精神状態じゃ仕事にならん、一旦に日本に帰ってこい』と言われた。
確かに……そうだよね。
ひとり親の父が残した店を差し置いて、このままパリで仕事を続ける自信がなかった。それにうちの会社には海外勤務を希望している社員も多い。私が帰国したとしても代わりの人材には困らない。
明日帰国かぁ、パリ生活も結構長かったな……。
私はパリで築き上げてきた基盤に別れを告げるという選択をして、父の店“パティスリー・ハナザワ”を守るべく帰国を決意したのだった――。