かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
館川さんに言われてきょとんとする。そんなことひとことも言ってなかったのに、水面下で動いてくれていたなんて知らなかった。
「長嶺部長って顔が広いから、昔馴染みの仲間にも声かけてくれたんじゃないかしら?」
「昔馴染み?」
「あら、芽衣さん知らなかった? 長嶺部長は以前――」
「佐伯さん」
言いかけた恭子さんの言葉を館川さんが鋭く遮る。すると、バツが悪そうに口を手で押えて恭子さんは苦笑いした。
恭子さん、今、何を言いかけていたの?
気になる……。
長嶺さんの過去がどうしようもなく気になって、もう一度恭子さんに尋ねようとしたとき。
「芽衣さん、まだあのピンバッジは見つかってませんか?」
私の意を阻むように、館川さんから今一番考えたくない質問を投げかけられて出かかった言葉を呑み込む。
「はい。残念ながらまだ……なんの手掛かりもなくて」
ピンバッジがなくなってもうずいぶん時間が経つ。ここまでくると、ゴミと間違えられて捨てられてしまった可能性が高い。長嶺さんに盗まれた線を考えたことは、と問われたけれどやっぱり身内を疑うなんてできなかった。会社の人たちだって、コンテストに憧れを抱いている人はいるけれど、そんなことをするようには見えなかった。
「長嶺部長って顔が広いから、昔馴染みの仲間にも声かけてくれたんじゃないかしら?」
「昔馴染み?」
「あら、芽衣さん知らなかった? 長嶺部長は以前――」
「佐伯さん」
言いかけた恭子さんの言葉を館川さんが鋭く遮る。すると、バツが悪そうに口を手で押えて恭子さんは苦笑いした。
恭子さん、今、何を言いかけていたの?
気になる……。
長嶺さんの過去がどうしようもなく気になって、もう一度恭子さんに尋ねようとしたとき。
「芽衣さん、まだあのピンバッジは見つかってませんか?」
私の意を阻むように、館川さんから今一番考えたくない質問を投げかけられて出かかった言葉を呑み込む。
「はい。残念ながらまだ……なんの手掛かりもなくて」
ピンバッジがなくなってもうずいぶん時間が経つ。ここまでくると、ゴミと間違えられて捨てられてしまった可能性が高い。長嶺さんに盗まれた線を考えたことは、と問われたけれどやっぱり身内を疑うなんてできなかった。会社の人たちだって、コンテストに憧れを抱いている人はいるけれど、そんなことをするようには見えなかった。