かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
第七章 マティーニの誘惑
「本当にごめんなさい! 私、なんてお詫びをしたらいいか……」
数日後、仕事終わりに私は恭子さんに呼ばれて、とあるイタリアンレストランへ来ていた。こうしてふたりで食事をするのは初めてだけど、恭子さんは私の目の前で唇を震わせながら今にも泣きそうな顔で俯いている。料理が運ばれてきても彼女はまったく手をつけようとしなかった。
「あの、顔をあげてください。ほら、このピザ! すっごく美味しいですよ。入口のボードにオススメって書いてありましたから、恭子さんも食べてみてください」
「……うん、ありがとう」
努めて明るく振舞うと、恭子さんは小さく笑って頷いた。
恭子さんはピンバッジを盗んだ犯人が身内だったと知って、昨夜、責任者として直接私に謝罪したいと言ってきたのだ。
「恭子さんが悪いわけじゃないし、最終的に見つかったわけだし。それに、お店のみんなに探していただいて、迷惑をかけていたのは私のほうです」
恭子さんはそれでも鼻をスンスン言わせてハンカチで目元を押さえた。
数日後、仕事終わりに私は恭子さんに呼ばれて、とあるイタリアンレストランへ来ていた。こうしてふたりで食事をするのは初めてだけど、恭子さんは私の目の前で唇を震わせながら今にも泣きそうな顔で俯いている。料理が運ばれてきても彼女はまったく手をつけようとしなかった。
「あの、顔をあげてください。ほら、このピザ! すっごく美味しいですよ。入口のボードにオススメって書いてありましたから、恭子さんも食べてみてください」
「……うん、ありがとう」
努めて明るく振舞うと、恭子さんは小さく笑って頷いた。
恭子さんはピンバッジを盗んだ犯人が身内だったと知って、昨夜、責任者として直接私に謝罪したいと言ってきたのだ。
「恭子さんが悪いわけじゃないし、最終的に見つかったわけだし。それに、お店のみんなに探していただいて、迷惑をかけていたのは私のほうです」
恭子さんはそれでも鼻をスンスン言わせてハンカチで目元を押さえた。