かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
「佐伯恭子。本名は佐伯恭一郎っていう立派な男らしい名前がちゃんとある。あいつ、着痩せするからパッと見はスタイルのいい女性に見えなくもないが……。それに、君から俺と結婚するって話を聞いて『冬也! 芽衣さんを横取りしやがって!』って、野太い声ですごまれた。君は佐伯のお気に入りだったみたいだからな」
え……? お、男? 恭子さんが? う、嘘でしょぉぉ!?
ぽかん、と開いた口を押えることも瞬きさえも忘れて固まる。長嶺さんはそんな私を見て、ぷっ、と噴き出して笑った。
長嶺さんの話によれば、恭子さんは元々中性的な顔立ちをしていてどこもいじっていない稀有なトランスジェンダーだという。
「俺はてっきり初めからあいつが男だってこと気がついてるものだと思っていた。だから、仕事だとわかっていても執拗に君に近づくのが気に食わなかったんだ」
バツが悪い。そんな顔をして、長嶺さんは明かされた事実にいつまでも目を丸くしている私に小さく苦笑いした。
「じ、じゃあ、あのとき事務所で話してた恭子さんの相手っていうのは……」
「佐伯はずっとアリーチェ銀座の三階にあるアパレルの店長と付き合ってたんだよ。けど、あいつが実は男だとわかって、結局、店長の父親が見合い話を勧めたらしい。こればっかりはどうあがいても、日本じゃ同性結婚は認められていないから無理な話だ」
まさか、こんな結末が待っていようとは思いもよらなかった。
全部、あのときの話を勝手にこじらせて勘違いしていたのは私だったのだ。
ああ、馬鹿だ私……大馬鹿。
だって、恭子さんは美人で綺麗だし……わかるわけないよ。
え……? お、男? 恭子さんが? う、嘘でしょぉぉ!?
ぽかん、と開いた口を押えることも瞬きさえも忘れて固まる。長嶺さんはそんな私を見て、ぷっ、と噴き出して笑った。
長嶺さんの話によれば、恭子さんは元々中性的な顔立ちをしていてどこもいじっていない稀有なトランスジェンダーだという。
「俺はてっきり初めからあいつが男だってこと気がついてるものだと思っていた。だから、仕事だとわかっていても執拗に君に近づくのが気に食わなかったんだ」
バツが悪い。そんな顔をして、長嶺さんは明かされた事実にいつまでも目を丸くしている私に小さく苦笑いした。
「じ、じゃあ、あのとき事務所で話してた恭子さんの相手っていうのは……」
「佐伯はずっとアリーチェ銀座の三階にあるアパレルの店長と付き合ってたんだよ。けど、あいつが実は男だとわかって、結局、店長の父親が見合い話を勧めたらしい。こればっかりはどうあがいても、日本じゃ同性結婚は認められていないから無理な話だ」
まさか、こんな結末が待っていようとは思いもよらなかった。
全部、あのときの話を勝手にこじらせて勘違いしていたのは私だったのだ。
ああ、馬鹿だ私……大馬鹿。
だって、恭子さんは美人で綺麗だし……わかるわけないよ。