かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
気がつけば、私は長嶺さんの身体を横からしがみつくように抱きしめていた。

「情けなくてもいいんです。過去の長嶺さんも今の長嶺さんも……私は大好きです」

以前なら、こんなに素直に気持ちを伝えることなんてできなかった。長嶺さんを心の底から愛しているからこそ気恥ずかしくても自然と口に出せた。

「芽衣……」

両頬を長嶺さんの手で添えられ仰向かされると、潤んだ目を覗き込まれる。何かを確かめるように輪郭を目で辿っていた長嶺さんが不意に笑った。

「俺も、君が好きだ」

急に視界が反転したかと思うと、長嶺さんの大きな身体がのしかかってきて、そのままベッドへ押し倒された。胸を圧迫された息苦しさに喉を反らすとそのまま口をふさがれた。

「んっ……ふぅ」

抱きかかえられてベッドの中央に移動すると、肩口に顔をうずめ首筋を吸いあげられる。

「な、長嶺さん、待っ……!」

「待たない。俺は欲張りな男なんだ。欲しいと思ったときに手に入れなきゃ気が済まない」

くすぐったいような気持ちいいような妙な感覚に声が出ると、長嶺さんは私を煽るように片方の手で胸全体をまさぐり、その愛おし気な手つきに息が上がった。

「あっ……!」
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