かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
はぁぁ! 疲れた! このままベッドで眠りたい……。

会議が終わった頃にはすでに十九時を回っていた。加賀美さんはチームメンバーを引き連れて夕食を外に食べに行った。私も誘われたけどチームからなかなか鋭い指摘を受け、すぐさま計画書の修正をするべくオフィスに残ることにした。それからなんとか仕事を終え、糖分を求めて今、私は足早にパティスリー・ハナザワへ向かっている。

ちょっと遅くなっちゃったかな……。

腕時計をさっと見て時間を確認する。

パティスリー・ハナザワに着いたのは閉店間際だった。そのせいか、残念ながら冷蔵ショーケースにはなにもなく、すでに商品は引き下げられていた。

あ~、ケーキでも買って帰ろうかなって思ってたのになぁ……。

「お疲れ様です」

ケーキを諦めて事務所へ顔を出すと、今日の売り上げを見ているのか恭子さんが少し疲れ気味の顔でなにやらパソコン画面をじっと見つめていた。

「あ、芽衣さん、お疲れ様」
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