かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
「これなんだけど……」

ぱかっと容器を開けるとマカロンとマドレーヌ、クッキーがそれぞれ几帳面に並んでいる。

「わぁ、どれも美味しそう! いただきます」

いつも自信たっぷりの恭子さんだけれど、ほんの少し不安げな表情を浮かべてクッキーをつまむ私をじっと見ている。

マカロンとマドレーヌをひとつずつ食べてみるけれど、どれも問題なく美味しい。ただ……。

「ど、どう?」

「えっと……」

固唾を呑む恭子さんに、私は率直に思ったことを言おうか迷った。すると、恭子さんが痺れを切らせてはっきりとした感想を求めてきた。

「いいから、お世辞抜きでちゃんと言って欲しいの」

「そうですね……マカロンもクッキーもマドレーヌも、問題なく美味しかったです。けど、問題ないことが問題じゃないかと……」

自分でもなんて説明すればいいのか頭がこんがらがる。その証拠に意味が分かり兼ねると言ったふうに恭子さんがきょとんとして私を見た。

「どういうこと?」

「うーん、マカロンもクッキーもマドレーヌも、どれもほかの店では取り扱ってるし……目新しさがないというか……」
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