涙 のち 溺愛
目の前で、苦笑いしつつ私を見ているイケメンは、私の同期で直接の上司である、青山 亮太。
この1ヶ月間で3度目の『付き合って』。
冗談にも程がある。
私たちに、そんな空気感は全く無かったはずだ。
何せ、ここ何年かは、ほぼ仕事と同期会しか接点がない。
なのに、何故?
余りの精神的ダメージに、休憩室のソファに、ぐったりと沈み込む。
残業中とはいえ、今日の私の疲れの8割は、今の会話のせいだ。
「お前、俺の告白冗談だと思ってるだろ?
1回目は誤魔化して、2回目は逃走。
今回は何だよ?」
「いちお、本気で言ってる前提でお答えしましたが?」
「本気で瞬殺かよ、ひっでぇ」
クスクス笑ってこのコメント。
本気度が伺えるってもんだ。
「はいはい、仕事に差し支えるから、冗談でも本気でも、この辺にしといて。
休憩終わりっ、戻るよ?!」
私は持っていた紙コップを片付けるべく、ソファから立ち上がろうとした。