涙 のち 溺愛
まさに、『切なる願い』だった。
こちらの胸が痛くなるほどの。
一瞬、今の状況や恥ずかしさを忘れて。
心の奥底が、少しだけ動いたのがわかった。
────いや、だめ、怖い!!
私は力一杯、青山の胸を押した。
でも、その動きを予測していたように、青山はびくともしなくて。
むしろ、私をもっと強く抱き締めて。
「お前、俺のこと嫌いじゃないだろ」
「嫌いなわけないじゃない!
でも、付き合うのは無理!!」
「怖いからか?」
「そうよ!!」
いつの間にか、私の頬には涙が零れていた。