涙 のち 溺愛


気持ちが、揺さぶられる。
只でさえ、色々とさらけ出して、泣き疲れて。
固く纏った鎧が、外れてしまいそう。
『鉄の女』で、なくなってしまう。

「──そんなの、ダメだよ」

私は、お腹に力を込めた。

「私はもう壊れてるから。
多分、恋愛的な意味で、誰も好きになれない。

気持ちは嬉しいけど……青山に迷惑はかけられな……」

「嬉しいんだな?!」

青山は、被せるように言った。

「嬉しいなら、お前は壊れてない。
まだ、俺の気持ちを受け取る余地があるんだ。

1%でも、可能性があるなら。
お前を必要としてるのは俺なんだから、色々気にせずに側にいて欲しい。

言ったろ?
お前は俺の『太陽』なんだ」



真剣な眼差しと声に。
────ああ───動いてしまう………。

あれから4年、心を揺らさないようにしてきたのに。
新たに鎧を着け直す間もなく、揺さぶられて。

でも、ここで青山が側にいることを認めてしまうと。
私は更に、恐怖と戦うことになってしまう。

貴史に植え込まれた、裏切りに対する恐怖と信じること、愛することに対する恐怖を、青山にも感じてしまうことになる。

弱虫なのは、わかってる。
でも、今は『愛してる』状態だとしても、未来はわからないのだ。

人の気持ちは、変化してしまうもの。
私たちは、それを痛いほど経験したのではなかったの?





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