涙 のち 溺愛
「──好きになれるかどうか、わからないんだよ?」
「わかってる。覚悟の上だ」
「今の私の精神状態で、付き合うのは、無理」
「そうだろうな、問題ない。
俺の気持ちだけ知っていてくれたらいい」
「──二人で、前みたいにつるむだけ?」
「俺は、精一杯アプローチするけどな。
俺はお前に触れたいから、時々は、今日みたいに抱き締めるかも。
デートの時に、手を繋ぐのもダメ?」
──眸を潤ませて、上目遣いで見るんじゃない!
イケメンがそんなことしたら、可愛いじゃないか!!
私がうっと詰まっていると、とってもいい笑顔で「良かった」と言う。
まだ許可してない!!
──と思ったけど、すごく言いにくい雰囲気だ。
だって、もう、蕩けるように嬉しそうな笑顔で、私を見てる。
──はっ、私がまごまごしている間に、色々と決まってしまう!
「きっ、今日はっ!」
まだ私を抱き締めたままの青山。
顔を隠すことができない私は、青山の胸に顔を埋める訳にもいかないので、一生懸命右の方を向いて顔を逸らす。
「今日は、側にいていいかどうかでしょ?!
わかったから!!オッケーだから!!
とりあえず、離せー!!」
叫んだ私に、よし、聞いたぞと言って、青山はゆっくりと手を離した。
恥ずかしくて、青山の顔が見れない私は、手で顔を覆ってしゃがみこんだ。
顔が、体が、熱い。
嫌だ、耳まで真っ赤になっているのが分かる。
そっと、髪に触れる、手。
ゆっくりと、優しく、頭を撫でる。
「……俺が今、どんなに嬉しいか、わかる?
──これから、一緒に。
幸せになっていこうな」
「プロポーズみたいなこと言うの、やめてよ。
一緒に過ごすだけだからね!」
「一緒に過ごせたら、その気になるさ。
ていうか、絶対にその気にさせる。
ちゃんとしたプロポーズはまたするけど、今のもプロポーズだと思ってくれて構わないよ」