思いを乗せたカクテルをあなたに
カミラと洋子、そして司で考えた作戦の開始の合図だ。

「……宏美さん。私には、分かります……最近、あなたの周りで悲しい出来事が起こりませんでしたか?」

カミラは、宏美の顔色を伺いながら問いかける。宏美は、怯えた顔をカミラに見せた。

「私は、霊能力者です。何か困り事があれば、今この場で解決してあげましょう」

(さぁ、どう出ますか……?)

カミラは、緊張しながら宏美を見つめる。もしかしたら、「詐欺師だ!」と喚かれるかもしれない、と洋子が言ったからだ。

「……あなたが、霊能力者ならば1つ頼みがあります。聞いてくれませんか?」

「……無料で聞きますけど、驚いたり騒いだりしないのですか?」

冷静な宏美に、逆にカミラが驚いた。

「ちょうど良かったんです。亡くした息子と話がしたいと思っていました。霊能力者って、そう言うことって出来るんですか?」

「……出来ます。今から私の体を、息子さんに貸しますので、その間にお話をしてください」

カミラが言うと、宏美はコクリとうなずく。カミラは、目を閉じると、近くにいた司を憑依する。

「……母さん?」

司と入れ替わったカミラ(以下、カミラ(司)と表記する)が、顔を上げると、宏美は「司……?」とカミラ(司)と目を合わせた。
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