思いを乗せたカクテルをあなたに
カミラは、とあるバーの扉を開いて中に入る。中は、とてもオシャレだ。
「……福宮さん。いらっしゃいませ」
女性のバーテンダーである金髪の女性、如月 洋子(きさらぎ ようこ)は、グラスを拭きながらカミラを見ると、ふわりと微笑む。
「……今日も御神酒を買いに来たのですか?」
洋子の経営するこのバーは、普通ではない。お供えのための御神酒を販売もしている。
「いえ、違います」
カミラが首を横に振ると、洋子は少し残念そうな顔をした。すぐに笑顔に戻り、隣にいるコナミに目を移す。
「そちらの方は?」
「……私は、福宮 コナミ。よろしくな」
「……お初お目にかかります。バーテンダーの如月 洋子と申します」
警戒した目で洋子を見たコナミは、深いため息をついた。
「……なぜ、妖狐が人間に化けてるんだ?」
「おや……分かりますか?さすがは、神様ですね」
イタズラっ子のような笑みを浮かべた洋子は、隠していた獣耳としっぽを出す。洋子は、化け狐だ。
「……そうですね。私は、人間たちと触れ合いたいだけですよ。カミラさんみたいに、神界にいる巫女さんたちには、除霊具などの販売をし、人間には、バーとしてお酒を振舞っています」