思いを乗せたカクテルをあなたに
「……そうか」

「洋子さん。今日は、カクテルを飲みに来ました」

カミラがそう言うと、洋子は珍しいな、と言いたげな目をカミラに向けた。

「コナミ様が、カクテルを飲みたいそうです」

洋子は、カミラが神界にいる巫女だと言うこと、カミラの神社にいる神様がお酒好きだと言うことを知っている。

なので、カミラは人間が居ない時は、普通に神界であったことなどを話す。

「……分かりました。カクテルには、たくさんの種類がありますが、いかがなさいますか?」

カウンター席に座ったカミラたちに、洋子はメニュー表を差し出した。

「……見ても全く分かりません……なので、洋子さんのおまかせで」

「かしこまりました」

爽やかに微笑んだ洋子は、作業を始めた。しばらくすると、洋子は、カミラとコナミの前に淡い黄色のカクテルを出す。

「……ウォッカとグレープフルーツジュースを混ぜ合わせた、ブルドッグと呼ばれるカクテルです」

コナミとカミラは、カクテルを見つめ、グラスを手に取り、ゆっくりと口にする。

「……美味い……」

コナミは、カクテルの美味しさと、アルコールによる熱で顔を赤くする。

「……そうですね。美味しいです」

カミラもうなずいて、再びカクテルを口にした。
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