思いを乗せたカクテルをあなたに
疲れた巫女は、カクテルが飲みたい
翌日、白いパーカーに身を包んだカミラは人間界に仕事をするためにやって来ていた。
神界にいる巫女は、人間界にいる霊を除霊したり、降霊させたりと霊能力者の仕事もしている。
「……私にお任せ下さい」
不安そうな顔をする今日、最後の依頼者、坂井 百合(さかい ゆり)に、カミラは安心させるようにニコリと笑った。
「よろしくお願いします」
百合は、ぺこりと頭を下げる。カミラは無言でうなずくと、怪奇現象が起こるという部屋へと移動した。
(うわっ……すごい邪気……)
カミラは、今までに感じたことのないような強い邪気に思わず後ずさる。
「……よし」
カミラは、深呼吸をして部屋の中へと足を踏み入れた。その部屋の真ん中で、カミラは詠唱を始めた。
すると、カミラの周りに風が巻き起こる。やがて、黒いものが姿を現した。この黒いものは、悪霊だ。
「……か、数が多い……」
カミラは、御札を構えながら呟く。カミラの頬に汗が伝った。
「……大人しく成仏しなさい!」
そう言いながら、カミラは御札を投げつける。カミラが全ての悪霊を退治したのは、除霊を始めてから数十分が経った時のことだった。他の部屋にも悪霊が現れ、カミラは依頼者の家中を走り回っていたのだ。
「ありがとうございました!」
百合は頭を下げた。変わった家の雰囲気に、百合の顔は嬉しそう。