to be continued...

「あの、えっと、こういう姿勢はさ、その、誰かに見られたら誤解されるっていうか……」
「誤解って？」
「あの、その、だ、抱き合ってるって……」
「今日」
「……え？」
「……今日、さっき」
「さっき？って飲み会のこと？」
「…………藤井さんに、口説かれてましたね」
「えっ⁈」
「……やっぱり気付いてなかったか……」
「藤井さん？私？口説かれてた？」
「かなりわかりやすーく」
「えっ、えーと、よく覚えてない……」
「そんなこと、今までいっぱいありましたよ」
「えっ、うそっ！」
「いろんな人に何度も持ち帰られそうになって、俺が横取りしてました」
「はい⁈なにそれ」
「もうみんなわかってるから、しばらく平和だったのに。藤井さんは久しぶりに飲み会に来たからわかんなかったみたいでしたね」
「え、え、あの……雄大なに言ってるの？」
「芳子さんの話をしてるんですよ」
「は？」
「は？じゃなくて。芳子さんは俺がガードしてるから、みんな手を出せないって話です」
「あ、ああ、ガードね。守ってくれてたってこと？」
「そうです」
「そっか……ありがとね。えっと、だから、もう大丈夫だから、離してもらっていいんだけど」
「なんで？」
「なんでって、だって、もう藤井さんいないし」
「これはガードじゃありませんよ」
「え……じゃ、あ……あの……」
「もういい加減キレそうなんで、気付いてもらっていいですか？」
「……は？」
「好きなんですよ。芳子さんが」
「…………へ？」
「もうずーっと。初めて会った時から」
「え、え、あの……はい？」
「芳子さんが、恋愛方向に鈍感なのは知ってます。いつもできてる気遣いが、何故か恋愛がからむと全く無くなって、別の方向に向いちゃって『あの人いい人よねー』ってなっちゃうのも知ってます。俺の気持ちにも全然気付いてなくて、恋愛対象に入ってないのも知ってます。わかりやすくアピールしてきたから、周りはみんな俺の気持ちを知ってます。知らないのは芳子さんだけ」
「あ……」
「ほんとは気付いてくれるのをもうちょっと待とうと思ってたんですけど、今日藤井さんに口説かれてるの見て、もう駄目だと思って」
「駄目って……」
「今までは俺が気付いてガードできたけど、この先ずっとできるとは限らないし、気がついたら他のヤツにかっさらわれてたなんてことになったら、気が狂います」
「そんな大げさな」
「大げさじゃありません。芳子さん、自分がモテるって知らないでしょ」
「え、モテないよ？」
「気付いてないだけだし、俺がガードしてたから知らないんですよ」
「ええー……なにそれ」
「さっきも言ったでしょ、いろんな人に何度も持ち帰られそうになったって」
「ああ……」
「だから、もうそろそろ気付いてください。それで、俺のことを恋愛対象に入れてください。もし入らないんだったら、潔くあきらめて、消えますから」