愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「・・・不在のあいだ織江をよく気にかけていただいたようで。私からもお礼を言わせていただきます」
あらたまって相澤さんに頭を下げられ恐縮しまくるあたし。
「いえあのっ、しつこく電話してただけで・・・っ。由里子さんみたいに傍にいてあげられなくて全然なんにもっ」
「そんなことないわ、宮子さん・・・!」
目を潤ませながら織江さんが笑む。
「『生きてるんだから何もマイナスじゃない』って笑って言ってくれた時、二人の幸せそうな姿が浮かんで、ああ本当にそうだって思えたの。わたしも子供達も渉さんを失ったわけじゃない、いつもどおり笑顔で『お帰りなさい』を言えばいいんだって。遊佐さんを愛して、愛されてる宮子さんの言葉じゃなかったらきっと届かなかった、こうして笑うことなんて出来なかったもの・・・っ」
最後は声を詰まらせたのを隣りから相澤さんが黙って、自由な方の指で彼女の目許を拭ってあげ。少し不敵に口角を上げた。
「これでお前も、俺の悪運の強さを信じる気になっただろうが」
「・・・“一ツ橋の虎徹”が強いのはよく分かりました」
虎徹の名前がこぼれた瞬間、相澤さんは苦虫を嚙み潰したような表情になり、織江さんが少し可笑しそうに笑う。
今はどこにでも人の生き死にが道端に転がってる。その現実を思い知る瞬間は誰にも訪れる。あたし達はいちばん近くにいて、本当は明日をも知れない。だからこそ。
織江さんに、ただ泣いてうずくまってて欲しくなかった。
あたしも色んなことを間違えそうになった。
織江さんには間違ってほしくなかった。その一心だった。
織江さんが笑えなくなったら一番苦しいのは相澤さんだから。
どっちも苦しくてどうしようもなくて。二人がそんな風に壊れてくのは見たくなかったから。
そんなのはもう。あたし達だけで十分だから。
・・・織江さんなら大丈夫って信じて励まし続けただけ。
ちゃんと心を結び合ってる二人を見守り。・・・少しだけなにかが報われた気がして、あたしも笑みをほころばせた。
あらたまって相澤さんに頭を下げられ恐縮しまくるあたし。
「いえあのっ、しつこく電話してただけで・・・っ。由里子さんみたいに傍にいてあげられなくて全然なんにもっ」
「そんなことないわ、宮子さん・・・!」
目を潤ませながら織江さんが笑む。
「『生きてるんだから何もマイナスじゃない』って笑って言ってくれた時、二人の幸せそうな姿が浮かんで、ああ本当にそうだって思えたの。わたしも子供達も渉さんを失ったわけじゃない、いつもどおり笑顔で『お帰りなさい』を言えばいいんだって。遊佐さんを愛して、愛されてる宮子さんの言葉じゃなかったらきっと届かなかった、こうして笑うことなんて出来なかったもの・・・っ」
最後は声を詰まらせたのを隣りから相澤さんが黙って、自由な方の指で彼女の目許を拭ってあげ。少し不敵に口角を上げた。
「これでお前も、俺の悪運の強さを信じる気になっただろうが」
「・・・“一ツ橋の虎徹”が強いのはよく分かりました」
虎徹の名前がこぼれた瞬間、相澤さんは苦虫を嚙み潰したような表情になり、織江さんが少し可笑しそうに笑う。
今はどこにでも人の生き死にが道端に転がってる。その現実を思い知る瞬間は誰にも訪れる。あたし達はいちばん近くにいて、本当は明日をも知れない。だからこそ。
織江さんに、ただ泣いてうずくまってて欲しくなかった。
あたしも色んなことを間違えそうになった。
織江さんには間違ってほしくなかった。その一心だった。
織江さんが笑えなくなったら一番苦しいのは相澤さんだから。
どっちも苦しくてどうしようもなくて。二人がそんな風に壊れてくのは見たくなかったから。
そんなのはもう。あたし達だけで十分だから。
・・・織江さんなら大丈夫って信じて励まし続けただけ。
ちゃんと心を結び合ってる二人を見守り。・・・少しだけなにかが報われた気がして、あたしも笑みをほころばせた。