愛は、つらぬく主義につき。 ~2
そのあとは、ぼた餅からおばあちゃんの話になったり、実はあたしの初恋が哲っちゃんだったって話をしたり。
『宮子は昔っから歳上のイケメン好きで、相澤代理にも目がナイし』って、真に意地悪く暴露された時は、一体なんの仕返しかと頭の天辺からマグマが噴き出しかけた。・・・あとで憶えてなさいよ?!



途中、藤さんが珈琲をカップごと入れ替えてくれた時だった。相澤さんが不意に言った。穏やかな、でもどこか有無を言わせない口調で。

「・・・織江、ちょっと雅と椿の様子を見に行ってこい」

織江さんは「分かりました」と微笑み返し、立ち上がってリビングを出て行く。

ここから先は彼女には聞かせたくない話・・・のサインに思えた。
見送った相澤さんは、張った糸を緩めたようにソファの背に気怠げにもたれかかり、息を吐く。

「大丈夫ですか相澤さん。もう休んだほうが・・・」

無理して具合が悪くなったのかと遠慮がちに声をかける。

「・・・藤の化膿止めが効きすぎるようで申し訳ない」

苦そうに口角を上げたのを、真が横からスッと口を挟んだ。

「なにか話があるんじゃないんですか?」

すると相澤さんの気配が冷ややかさを増して、顔付きが変わる。
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