愛は、つらぬく主義につき。 ~2
その言葉にあらためて思い起こされた。新年会、亞莉栖。確かに偶然じゃない意図も感じた。邪気のない意図。・・・多分そこなんだと思う、高津さんを疑いきれない理由って。

「それが本当なら、ウチも黙ってられないですケドね」

凍りついた視線で一瞥し、あたしを金縛りにしたまま真が淡々と。

「あとで本人にもよく言い聞かせときますよ。知ってる男についてくなって」

バックには猛吹雪が吹き荒れて見えた。

「・・・宮子お嬢さん」

「はい・・・っ」

相澤さんの射貫くような眼差しに見据えられて、うわずった返事。

「晶とはいずれ決着をつけることになります。これは自分のけじめですので」

その意味を受け止めて、胸の内で(くう)を仰いだ。
前に仁兄が言ったのを思い出す。相澤さんが本気になったら、流れる血はきっと高津さんのだ。誰も止められない。見届けるしかない。

「・・・分かりました」

真顔で頷き返す。

「でも、もしあたしに何かあっても相澤さんのせいじゃないですから。どうしても責任を取りたいなら生きて取ってください。勝ち逃げも負け逃げも、相澤さんのすることじゃないですよ」

居住まいを正し、あたしが真っ直ぐそう突き返すと。
少し目を見張ってから、「・・・承知しました」と相澤さんは深く頭を垂れた。
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