愛は、つらぬく主義につき。 ~2
すとん、てココロの中に落ちてきて、そこにあった窪みにぽこっと填まる。ユキちゃんの言葉はいつもそう。頼りなかった気持ちがふっと落ち着く。お医者さんじゃ治せないものを治してくれる魔法の女神。かな。




気が付けばお客さんもちらほら入り始める頃合い。手の空く合間、ユキちゃんにかまってもらいながら時間を潰す。真からラインが来たのは9時半を回ったくらいで。間もなく二人は姿を見せた。

「お待たせ宮子」

「ん。おかえり」

パーカーにペインターパンツってラフな格好して甘い顔。ほんと極道者に見えない。
あたしの前髪の上から額にキスを落とすと隣のスツールに真、その奥に榊。

「いつも宮子のお守り、サンキュ」

「どーいたしまして。チヨちゃんならいつでも大歓迎。もちろんマコトちゃんのお守りもウェルカムよ?」

したり顔の真に片目を瞑った意味深な笑みで、ビールとウーロン茶のグラスを前に置いてくユキちゃん。
こっちをチラ見した当人はどことなくバツが悪げ。

「オレの個人情報バラさないでよユキ姉。カッコつかない」
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