愛は、つらぬく主義につき。 ~2
リクルートスーツを着替える前に榊にラインを送った。“ほんとにゴメン。キライって言ったの、一生取り消すから”。
短く返ってきた一言は“なんでも言え”。屁でもないって逆に怒られてる気がした、俺を見くびるなって。上から睨みを利かせてる目付きの悪い阿部寛が浮かんで。・・・鼻の奥がつんとした。




リビングに戻り、ソファにもたれてた真の隣りにお尻を下ろすと。伸びてきた指が、さっきまであった涙の跡をなぞるように頬を包みこむ。伏せ目がちにあたしからすり寄せて、上からそっと掌を重ねる。

「相澤さんに会ってから、ずっとあたしに言いたいコトあったんでしょ・・・? 言ってよ、ぜんぶ聞くから」

「半分はさっき俊哉にバラされた」

どこか。諦めたような笑みを匂わせて真が息を吐いた。
目が合い、顔が寄ってきたかと思うと。そのまま重心がかかって仰向けに倒され、もこもこスエットの胸の辺りにプラチナアッシュの頭が埋まる。

「宮子が、高津さんを知った風に言うのがすげー腹立ってさ。気があるワケじゃねーのは分かってたから、そんなコトでいちいち泣かせたくなかったんだよ。・・・そのうちオマエを本気でカゴん中に閉じ込めたくなるし、守りたいんだかオレのエゴなのか腹ン中が真っ黒になってんの。・・・笑えんだろ」

あたしはゆるゆると腕を伸ばし愛しい男の髪を撫でた。
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