愛は、つらぬく主義につき。 ~2
お互いにダンナの遅い帰りを待つあいだのフリータイム。テレビの音量を少し絞って、ソファに寝転びながらひとしきり結婚式の話題でお喋りに花が咲いた。

『やっと実感が沸いてきたわよ、宮子と遊佐クンが結婚するんだって! もちろん式はゴールじゃないけど、これで肩の荷がひとつ下りるわー』

わざとらしいくらいに、あっけらかんと笑う声が届く。

事故に遭ったあとも、あたしが一人暮らしを決めたときも。それこそ初めての子育てで、自分だって精一杯だったハズなのに、人の心配ばっかりして励まし続けてくれた彼女。真との結婚を絶対に諦めたくなかった気持ちを折らずにここまで辿り着けたのは、本当に本当に紗江のおかげ。ずっとあたし達を見守ってきた分、一番やきもきさせただろうって思う。

ぐっと込み上げてくるものを堪えて。明るく笑い返そうとしたけど、あたしの声は詰まり気味になった。

「待っててくれて、ありがとねっ・・・ッ」

『前に宮子、おばあちゃんになっても、遊佐クンがOKするまでプロポーズし続けるって言ってたでしょ? あと50年はかかりそうだって思ってたから、早かったわよ』

悪戯っぽく聞こえ、思わず半泣き笑いで顔がくしゃっと歪む。

「あたしもそのくらいは覚悟してた」

『宮子と遊佐クンが幸せならなんだっていいし、ぜんぶ結果オーライってこと。榊クンもきっと、あたしと同じだって思うよ』

「・・・榊にもほんと、シアワセになって欲しいんだけどなぁ」

独りごちてから。思い出して、「あのね」と懺悔を切り出してみた。

「こないだ榊に『大キライ』って言っちゃって」

『は?!』

紗江から素っ頓狂な声が上がった。
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