愛は、つらぬく主義につき。 ~2
『エ?、榊クン、宮子になんか言っちゃったのっ?、なんかやらかしちゃったのっ?!』

目の前にいたら詰め寄られてそうな勢いに思わず、たじろぎながらソファの座面に正座したあたし。

「えっ?、ううんっ、榊はなんにも悪くないよっ? あたしが考えなしで真に余計な心配かけてたの。それを榊が教えてくれたんだけど、誤解してつい・・・。そんな意味もないこと言うワケなかったのに、一瞬でも信じなかった自分が情けなくてさ。今までどんだけ助けてもらったのって思ったら・・・」

言ってて最後は深い溜め息が零れる。

あれから榊のぶっきらぼうも、ウチで夜ご飯食べるのも、何も変わんない。
次の日に会ったとき。気持ちでは土下座して床に頭をこすりつけてた。しばらく頭を下げたきりだったあたしに、『・・・次あやまったら絶交すんぞ』って。

いつだって。榊は許して受け止めてくれる。言わなくても手を伸ばして掴んでくれる。
あたし達の絆はもしかしなくてもずっと、そうやって榊が繋げてくれてたのかもしれない。空気みたいに当たり前にあるものじゃ、なかったのかもしれない。

ふと思ったら、胸の奥がきゅっと締め付けられた。

「ねぇ紗江。あたし、榊になにを返したらいいのかな。榊にしてあげられるコトってなんだと思う?」

すると紗江は打って変わって、『・・・そうね』と穏やかに答えた。

『あたしは。榊クンは、見返りが欲しくて宮子と遊佐クンのそばにいるんじゃないって思うわよ。二人に必要とされてることが何より嬉しいんじゃない? だから遠慮なく甘えたら、“ごめんね”より“ありがとう”の方がぜったい喜ぶから』
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