愛は、つらぬく主義につき。 ~2
ひと段落ついて。珈琲入りのマグカップを両手にキッチンから戻り、片方をソファで寛ぐ真に手渡す。

「これでだいたい決めるコトは決めたよねぇ。あとはリハーサルくらい?」

「そんなトコ。細かい打ち合わせも、もうねーかな」

隣りにお尻を下ろすと、タブレットをテーブルに置いた真が背もたれに寄りかかって伸びをした。

新郎の方が仕事も忙しいだろうから、新婦がプランナーさんとやり取りするパターンが多いんじゃないかって思うけど。うちはダンナが主導権にぎってて、あたしは知らされたスケジュール通りに動いてる的な。

べつに真は自分勝手にしたいワケじゃなくてね。あたしの為になにかしたくてしょうがないんだろうなって、見てて分かるから思うようにしてもらってる。それも惚れた弱みってヤツなの。

「新婚旅行もちゃんと連れてくから楽しみにしてな」

あたしが笑い返せば満足そうなアイドル顔が寄ってきて、やんわり唇を啄んだ。

ちなみに。旅行先やら参加人数は内緒にされたまま。パスポート取ってないから国内なのは間違いなくて、榊は参加決定済みとしても。・・・西沢さんあたりを連れてくかなぁ。あ。仁兄って線もアリ? 

途中からワルツを踏んだ長めのキス。締めくくりの合図を額に落として離れた真が目を細める。

「・・・あのさ宮子。式まで待つの、もったいねーし」

あたしの髪を掬って耳にかけ、そのまま指を頬に滑らせながら。顔に蜂蜜色の笑みを溶かして言った。

「28日の総代の誕生日に籍入れよ?」
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