愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「・・・へ?」

思わず目を瞬かせて呆けちゃったのは不意打ちだったからで。
おじいちゃんの誕生日に籍を入れるって。いま言ったよね? 結婚式の前日とかじゃなくて?
え、いや、ダメってことは全然ないよ、ないけど28日っていつ? 来週・・・?!
ちょっと待って、えーっと、婚姻届出すときって何が要るんだっけ?! 

たぶん必死な形相で、口をパクパクさせてるのを小さく吹き出した真は、あたしを引き寄せて髪をくしゃっとした。

「なにテンパってんの。戸籍謄本も取ってあるし、証人も書いてもらったし、あとはオマエが書くだけ。他に質問(ナンか)ある?」

「・・・・・・・・・ない。デス」

「よくできました」

愉しそうな声に脱力。真の肩にもたれかかって、ふうっと息を吐く。

「ねぇ。準備万端ってコトは、けっこう前から企んでたんでしょ?」

「んーまぁ。大姐さんにも、そのつもりで話はつけてたケド?」

言われてピンときた。年越しのとき、最初に結婚の話を持ち出したのはおばあちゃんだったコト。ほんと敵わない、あんたには。いつも5歩くらいあたしの前にいるんだもん。

「総代の誕生日と一緒なら、みんな憶えてられるだろ」


涼しそうに笑った気配に。
100年経っても追いつけそうにないかな、って白旗を揚げる。

たとえその脚が動かなくなる日が来ても。
あんたはきっとあたしの前を歩いて、手を引いてくれてる。変わらずに。


・・・そう思う。





< 127 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop