愛は、つらぬく主義につき。 ~2
遊佐のスマホに到着の連絡が来て、ユキちゃんに楽しかったお礼を言う。

「来られたらまたカオ出すね!」

「待ってるわー。でも危ないし一人で来ちゃダメよ?」

「ハーイ」 

「宮子、俊哉と先に行ってな」

「あ、うん」

榊があたしの荷物をいくつか持ち無言で促す。けっこう飲んでるかと思ったのに、見た感じ全くの素面(シラフ)。・・・付き合い長いけど、あんたがハジケてるとこ見たことないよね?


仁兄と遊佐を残して扉をくぐる前。肩越しに振り返って目の端に捉えた、遊佐の冷ややかな横顔。さっきまでいた場所なのにあたしですら立ち入れない。

(きよ)らかな夜はもうお終い。ユキちゃんだったらそんな風にニッコリ笑いそうな。





外に出た瞬間、冴えた夜気が肌を刺す。

「・・・さっさと乗れ」

ぼんやり夜空を見上げてたら、荷物をセレナの一番後ろに積んで出てきた榊に凄まれた。

「もうちょっと優しく言ってよー」

口を尖らせてみてもスルー。

「そんなんじゃ女の子逃げちゃうでしょーっ。てか彼女作る気ないの?」

「・・・いらねぇよ、んなの」

「なによそれ~。こっちは心配してんのにー! あたしは、榊にだってちゃんとシアワセになってほしいんだからね?!」

「・・・・・・・・・」

余計な世話だ。・・・って睨み方されて、のそのそセレナのステップを踏む。

なんでそう頑ななのかなぁ榊は。前に遊佐に訊いたら、一晩かぎりの相手はそこそこ不自由してないらしいけど。レンアイは面倒くさいとか? ちょっと一回、腹割って話そーじゃないの。

一人で勝手に闘志を燃やすあたしだった。
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