愛は、つらぬく主義につき。 ~2
スライドドアが閉められ、榊は外で待機。

「宮子お嬢、お疲れ様です」

だいたいいつも、こういう時の迎えは無口な西沢さんだったりするから。運転席からの聞き知った声に少し驚かされた。

「エッ、ごめんなさいっ。わざわざ葛西さんが来てくれたんですか?」 

彼は若い衆のまとめ役的な立場で会社で言えば課長クラス。送迎なんて部下(した)の誰かでもよかったんじゃ・・・?

「いえ仁さんもいるんで。自分が責任持ってお送りしますんで」

「ありがとうございます。あのもしかして、クリスマスに宿直(とうばん)あたったクチです?」

「いやまあ、今どきの若い連中はアメとムチですよ。今夜は少数精鋭でやらせてもらってます」

自分から引き受けた口ぶりに、相変わらずマジメな人だなぁって感心する。遊佐も信頼を置いてるし哲っちゃんの憶えも悪くない。地道に出世してくタイプだけど、華々しいのだけが極道じゃないもんね。


気安い葛西さんと他愛もないお喋りをしてるうちに遊佐達が戻って。哲っちゃんちに送ってもらった。

「葛西さんメリークリスマス!」

車から降りしな、そう笑いかければ。オールバックの見た目は怖そーなお兄さんが照れてるのが、ちょっと可愛かった。


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