愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「!」

思いがけない自白に瞬きも忘れる。
本当に高津さんが・・・?! 

「どうして驚くの? 信じてなかった?、俺が犯人(クロ)だって」

柔らかく口角を上げて見せるけど。一切の温度を感じない眸は冗談なのか本気なのかすら。

「知ってるだろ? 相澤を殺したいほど憎んでるのは誰か」

「だったら余計にあんな半端なマネしないですよね・・・っ」

「半端・・・ね」

彼は一瞬、遠くを仰いでからあたしに目を合わせて、クスリと漏らした。

「俺じゃ納得できないって顔してる。由里子と似てるな君は」

「・・・・・・からかいたくて呼んだんですか。用がそれだけなら帰ります」

眉を顰めて席を立ちかければ、「相澤の襲撃を持ちかけられたのは確かだよ」と冷静な声が引き止める。

「相手にしなかったらメテオの客を使われていい迷惑さ。迷惑料に相澤の命がもらえるかと思ったんだけど」

高津さんは淡々と続けた。

「・・・直接、指示したわけじゃないんですね」

「結果的にはね。・・・もし俺が殺してたら君とこんな風に話せてない、か。それも詰まらなかったかな」

「相澤さんを狙ったのは誰なんですか」

自分の思い付きに納得したように笑むこの人のペースに乗せられまいと、核心を突く。

世間話くらいの口調で高津さんが軽く答えた。

「クズのすることに首を突っ込むもんじゃないよ」

蔑みの色が乗った、冷ややかな眼差しであたしを見つめながら。
< 146 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop