愛は、つらぬく主義につき。 ~2
あしらわれたっていうより追い返された感触だった。誤魔化すためなのか、単純に踏み込むなって警告なのか。

「せいぜい藤代高雄に骨を折ってもらおうか、辿り着くまで」

どこか挑発的に口角を上げてみせた彼は。ユキちゃんの言い方を借りるならやっぱり黒に近いグレー。でも言ってることが剣呑なわりに殺気を感じない、他人事みたいに。・・・掴みどころのない人だった、相変わらず。

「藤さんなら・・・すぐ追いつきます、きっと」

あたしが言えば、「つれないね」と面白そうに小さく肩を竦める。

まるで緊張感もないし、ほんとにただ話がしたかったのかと混乱しそうになって。ちょうどやってきたウエイターさんに空気がリセットされた。二人分のカトラリーと、サラダとスープがテーブルに置かれたのを、高津さんは今度は爽やかな笑みを覗かせ、言う。

「ここの煮込みハンバーグは絶品らしいよ。ひとりじゃ様にならないし、折角だから付き合ってくれないかな」

スマートに畳んであった紙ナプキンを膝の上に広げる仕草。
あたしはひとつ息を逃して神妙に答えた。

「あまりゆっくりしてるヒマはないんです。GPSを復活させたら、真が迎えにくるので」
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