愛は、つらぬく主義につき。 ~2
あたしと相澤さんがどう引き換えになるのか。混乱する頭の中で、腕を吊った相澤さんが深く頭を下げた光景と、痛々しさを残してた織江さんの優しい笑顔がよぎる。そのまま固まったあたしの真横から、心底うんざりした溜め息が大きく聴こえた。
「筋違いにもホドがあんだろ、勝手に宮子を巻き込んでんじゃねーよ」
「これも立派な“取引”の話だ。黙っててくれないかな」
お互いに感情の欠片もなく。間に垂れ込める不気味な空気に押し潰されるかと。
「相手になんねーな」
真はにべもなく突っぱね、冷たい眼で牙を剥いた。
「宮子に二度と近付くな、次は殺す」
背筋が凍るような悋気をはらんだ低い声に、喉元から出かかった言葉が奥へ流れ落ちてった。一切を赦さない気配で真はあたしに命令する。
「帰るよ」
おずおずとイスから立ち上がり、テーブルに置いたスマホとバッグを手にすると、高津さんとは目を合わせずに小さく頭を下げた。顔を上げた時、温度も感情も読み取れない眸と交差した。ほんの一瞬。
そのまま踵を返しかけて、「残念だな」と追いかけられた声に反射的に足が止まった。
「筋違いにもホドがあんだろ、勝手に宮子を巻き込んでんじゃねーよ」
「これも立派な“取引”の話だ。黙っててくれないかな」
お互いに感情の欠片もなく。間に垂れ込める不気味な空気に押し潰されるかと。
「相手になんねーな」
真はにべもなく突っぱね、冷たい眼で牙を剥いた。
「宮子に二度と近付くな、次は殺す」
背筋が凍るような悋気をはらんだ低い声に、喉元から出かかった言葉が奥へ流れ落ちてった。一切を赦さない気配で真はあたしに命令する。
「帰るよ」
おずおずとイスから立ち上がり、テーブルに置いたスマホとバッグを手にすると、高津さんとは目を合わせずに小さく頭を下げた。顔を上げた時、温度も感情も読み取れない眸と交差した。ほんの一瞬。
そのまま踵を返しかけて、「残念だな」と追いかけられた声に反射的に足が止まった。