愛は、つらぬく主義につき。 ~2
硬いカサブタになってたその下の下から膿が漏れ出す。じくじくと痛みが波打って思い出させる。

“あたしのせいで”

“真にもしものことがあったら”

“今度こそ。あんたが失くした分、あたしが失くすからっ。盾になって矢でも弾でもぜんぶ引き受けるから!!”

声にならない声がせり上がった。あの事故からずっと胸の奥底で、被さった重たい鉄の蓋を拳で叩き続けてた気もした。ジャケットの上から胸の真ん中辺りをきゅっと掴んだ。

「・・・それで本当に真を守れるならあたしは」

「オマエは黙ってな」

腕を捕まえた真の指先がさらにきつく食い込んだ。そのまま力任せに引きずって行かれそうなのを踏ん張りながら。彼にぶつけた。

「ためらわずに高津さんを選びました。自分を引き換えにすれば、真から奪った分を償った気になれるから・・・!」

あたしを放さず黙って真の足が止まる。

「でも結局そんなのは自己満足です。二人で生きてく意味にならない、それが四年かかって辿り着いた答えなんです」

向いてる高津さんの無色不透明な眸はガラス玉みたいだった。

「だから何かを選べって言うなら。絶対に真が泣かないほうを選んで守ります・・・っ」
< 157 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop