愛は、つらぬく主義につき。 ~2
どこか祈るような気持ちでぶつけた思いは。そのまま小石になって彼の足許に散らばり落ちてるみたいに見えた。
「君の感情論には興味がないんだけどね」
薄く口角を上げ、小さく肩を竦める仕草。
「もっと合理的に遊佐さんを助けたいのかと思ってたよ。・・・結城さんも、愛する夫が次は死ぬかもしれないって怯えながら暮らすんだろうな。日本を発つ前に後腐れなく相澤を片付けても良かったけど気が変わった。君をじっくり泣かせる楽しみをとっておくさ」
毒を仕込んだ甘い笑み。それが。100%の邪気に思えないのってなんでだろう。純粋な悪と善が紙一重。どっちかがどっちかを断ち切るその瞬間を互いに待ってる。ような。
「・・・由里子さんやシノブさんの気持ちは考えないんですか」
「お節介な兄妹だとは思ってるよ。君も俺の邪魔だけはしないでくれるかな。さもないと命の保障はしない」
途端、動いた影に視界が遮られ。目の前に真の背中がそそり立ってた。
「少しは立場ってもんを弁えてモノ言えねーの? ・・・西沢、北原千也を連れてけ。宮子を拉致った実行犯だ好きにしていい」
ワイヤレスイヤホン越しに指示を出す抑揚もない声に。一瞬で血の気が引く。
「や・・・っ、待って真、お願いッッ」
「・・・なに?」
「千也さんは高津さんに頼まれただけだしっ、あたしに何かしたわけじゃないでしょっっ?」
懇願するように叫んで、振り返ってもくれない真の背にすがりついた。
愛おしそうに指輪に口付けてた彼の残像。ヤメテ、ヒドイコトシナイデ、待ってる家族がいるのに、オネガイッ・・・、オネガイ!!
「前に教えてやったよなオマエに。オレは甘くないって」
ようやく半分だけ振り向いた真は、無情な極道者の顔をさらけ出してた。
「君の感情論には興味がないんだけどね」
薄く口角を上げ、小さく肩を竦める仕草。
「もっと合理的に遊佐さんを助けたいのかと思ってたよ。・・・結城さんも、愛する夫が次は死ぬかもしれないって怯えながら暮らすんだろうな。日本を発つ前に後腐れなく相澤を片付けても良かったけど気が変わった。君をじっくり泣かせる楽しみをとっておくさ」
毒を仕込んだ甘い笑み。それが。100%の邪気に思えないのってなんでだろう。純粋な悪と善が紙一重。どっちかがどっちかを断ち切るその瞬間を互いに待ってる。ような。
「・・・由里子さんやシノブさんの気持ちは考えないんですか」
「お節介な兄妹だとは思ってるよ。君も俺の邪魔だけはしないでくれるかな。さもないと命の保障はしない」
途端、動いた影に視界が遮られ。目の前に真の背中がそそり立ってた。
「少しは立場ってもんを弁えてモノ言えねーの? ・・・西沢、北原千也を連れてけ。宮子を拉致った実行犯だ好きにしていい」
ワイヤレスイヤホン越しに指示を出す抑揚もない声に。一瞬で血の気が引く。
「や・・・っ、待って真、お願いッッ」
「・・・なに?」
「千也さんは高津さんに頼まれただけだしっ、あたしに何かしたわけじゃないでしょっっ?」
懇願するように叫んで、振り返ってもくれない真の背にすがりついた。
愛おしそうに指輪に口付けてた彼の残像。ヤメテ、ヒドイコトシナイデ、待ってる家族がいるのに、オネガイッ・・・、オネガイ!!
「前に教えてやったよなオマエに。オレは甘くないって」
ようやく半分だけ振り向いた真は、無情な極道者の顔をさらけ出してた。