愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「大丈夫よチヨちゃん、ちゃんと話をすれば分かってくれる子だもの。・・・ね?、マコトちゃんも」

ユキちゃんからの慰めの眼差しがふと逸れたのを。釣られて斜めに振り返る。

少し離れて立ってた真は、プラチナアッシュの髪を物憂げに掻き上げたその掌を差し出して「宮子」と、あたしを呼んだ。怒っても笑ってもない表情。感情が振り切れてるのが分かるから、なおさら(こた)える。

向かい合って目を合わせられたのも、ほんの束の間。身の置き所がない心境で喉元から声を絞り出した。

「・・・ッ、勝手なことしてごめん・・・! 真の気が済むようにしていいよ、責任はちゃんと取る。もう一生外に出るなって言うならそうするし、二度とこんな真似しないから・・・っっ」

項垂れたあたしに真は黙ったままだった。

ときどき意見が分かれてケンカくらいはする。子供の頃から兄妹同然で育っても一から百まで合うワケじゃない。大概こっちが言いくるめられるか、・・・言いくるめられる。アメと鞭の使い方があたしより何枚も上手(うわて)な男。

言いたいことは我慢しないし、怖いくらい冷たい時もある。でも10割がたあたしの為で。8割がた間違ったことも言わない。

そういう男だって分かってるから。2割がたの、たとえ理不尽な罰だったとしたって無条件で受け容れる。・・・覚悟はできてた。
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