愛は、つらぬく主義につき。 ~2
普段の数倍、真が口を開くまでの時間が長く感じた。後ろ襟がチリチリと焦がされてくような感覚にじっと耐えて。

「今日で会社辞めさせるハナシは仁兄につけた。当分、実家(ウチ)から出んな」

抑揚のない声音で下される裁定。小さく頷き返す。

「他所の飼い犬にじゃれつかれたくらいで騒ぐつもりもねーよ。・・・けど、ひとつ間違えりゃ志信さんの首までもらうハメになった。宮子のせいで」

「・・・・・・・・・うん」

はっきりあたしを咎めた言葉が重く渡る。爪先まで。

「オマエがしたことは、ただの独りよがりだったんじゃねーの?」

結果こうなんだから。・・・違わない。

「・・・・・・ごめんなさい・・・」

「止めきれなかったオレにも責任はある。尻拭いしてくるからオマエはユキ姉んトコにいな」

「・・・!」

尻拭い、のひと言に思わず上を振り仰いだ。あたしを見下ろしてる真の眼とぶつかって顔が歪んだ。
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