愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「高津さんはちょっとくらい邪魔な荷物持ってたほうがいいって・・・言いたかったのかも」

相澤さんへの憎しみさえ、由里子さんと彼を繋ぐ糸の一本。シノブさんが目をかけるのだって義理じゃなく情けだと思う。

相澤さんから返される敵意も高津さんにとってある意味、糸だ。静羽さんて存在を巻き取って絡んだ。

自分に聞かせるように口から零れた。

「そういう(しがら)みがあの人を生かして、いつか殺すんだよ」

そうして最期は。満足でも諦めでもなく厄介払いしたみたいに笑えばいい。

「真が聞いたらまた妬くよ」

笑んだ気配に外から隣りへと視線を振り向ければ、軽い制動がかかって車は信号待ち。

「宮子お嬢は晶を放逐したいわけじゃない?」

「・・・相澤さんにはしばらく手を出さないって」

「そんなに聞き分けのイイ子だったかな」

男に戻ったユキちゃんが柔らかくこっちを見た。

「何を言われたのか話してごらん。・・・隠さずにね」


清涼系の優しい笑顔にどことなく気圧されながら。会社に現れた千也さんとのやり取りから何からなにまで、亞莉栖に着く前に丸裸にされたあたしだった・・・。




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