愛は、つらぬく主義につき。 ~2
あらかた終えるといつもの指定席に腰掛け、お駄賃のレモンソーダで喉を潤す。

「さっぱりしてて美味しい-」

「レモンが苦手なチヨちゃんには、ちょっとだけ隠し味が効いてるのよ?」

カウンターの向こう側で丁寧にグラスを磨いてるユキちゃんがにっこり笑った。

「掃除もぜんぶ、いつも一人でやってるんだねぇ」

あたしはロンググラスを前に、店内を見渡しながらあらためて感心してみせる。

「小さいお店だし慣れると苦じゃないの。買い忘れなんかがあると、分身の術が欲しくなっちゃうくらいかしら」

「!」

閃いた。

「ねぇユキちゃん、あたしお手伝いに来よっか? もちろんボランティアでいいから!」

さっき真が仁兄に退職願を出したばっかりで明日から無職。謹慎が解けたら、亞莉栖だし真も赦してくれないかな・・・?

「そうねぇ」と珍しく思案顔のユキちゃんは、グラスを照明に透かす仕草で淡く微笑んだ。

「気持ちはとっても嬉しいわ。でもここは“色々な”お客さんが来る場所でしょ。マコトちゃんや哲司さんはあんまり勧めないんじゃないかしら」

「あ・・・、そっかぁ」

思いつきは見る間に萎む。
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