愛は、つらぬく主義につき。 ~2
ユキちゃんはこう見えても情報屋さんだ。買う人売る人、かかわる裏の人間が出入りする。お店に立てば顔が覚えられる、臼井宮子の素性もすぐ割れる。やっぱり真の悩みの種を増やす。・・・うん、ダメだ全然。

「どうかは分からないけどダンナさまに相談しておくわね。可愛いチヨちゃんの頼みだもの」

しょげたあたしにクスリと返った。

「でもきちんとマコトちゃんに赦してもらうのが先。頭で分かってても、チヨちゃんが他の男に会いに行ったってところだけ穏やかじゃないのよ。相手が相澤代理や志信ならともかく、晶だったっていうのがコンプレックスに思えるのかしらね」

「コンプレックス・・・? 真が?」

思わず目を見張った。いちばん縁遠い言葉なんじゃないの? だって。

確かに学校の成績は中の下・・・の数段下くらいだったけど、あの容姿だしあの愛嬌だしあの性格だし。リーダーシップも取れるし、芯も硬い。極道のプライドだって持ってる。

高津さんに劣ってる要素なんて1個もない。 

信じられない顔付きになってたのか、ユキちゃんが眉を下げて苦笑い気味に。

「他人から完璧に見えてようと誰でも一つくらいはあるものだよ、お嬢。見せたくないから隠してるだけでね」
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