愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「晶は、道を外さなかったらグローバル企業の第一線で活躍できたような子でね、極道に生まれた宮子お嬢たちとは違う。その差をどう感じるかは真次第だけど、無いものねだりで終わるようじゃ先が知れてる。・・・男は女で育つものよ?、チヨちゃんも精進なさいな」

最後はママに戻って、にっこり返った。

いつだってお説教じみた押し付けは言わないユキちゃん。でも甘やかしもしないし、どう足りないかをちゃんと教えてくれる。

「うん。・・・ありがとユキちゃん。ずっと一緒だったからって今までの延長気分なんかじゃダメだよね」

真っ直ぐ目を合わせて自身に言い聞かせるように。

「慣れすぎて勝手に思い込んでるかもしんないし、当たり前が見えなくなってるかもしれない。真の奥さんを一からやり直すつもりで謝るよ、ほんとの意味で夫婦になりたいもん」

「それが分かってるなら上出来。ガンバリなさい」

さらっとした励ましはレモンソーダくらい涼やかで。さっきまで覚束(おぼつか)なかった気持ちが、胸の内ですっと引き締まった。



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