愛は、つらぬく主義につき。 ~2
案内された連翹の間は。格子戸の玄関に三和土、そこで靴を脱ぐと畳の小上がりまであって、料亭って言うより高級旅館の一室かと思う。
「お連れ様がお見えになりました」
襖の前で正座した女将が中に向かって声をかけ、引き手に両指を添えて横に滑らせる。10帖くらいのゆかしい和室。奥には広縁も見えた。
綺麗な正方形に区切られた格天井、広い床の間や細かい細工の欄間。中央には立派な黒檀の座卓が鎮座して、周りを座椅子が囲んでた。
居たのはひとり。上座の右脇に腰を下ろしてた濃紺スーツの長身が、ゆっくりこっちを見やった。瞬間。その場で氷の像になりかける。
無言で背景に吹き荒れてるブリザード。不機嫌さの迫力も榊の比どころじゃない。・・・・・・やっぱり兄弟、怒り方が瓜二つ・・・・・・。
「・・・・・・なにを突っ立ってる。こっちに来い宮子」
銀縁眼鏡の奥からマイナス100℃の冷凍光線を発射しながら。仁兄は恐ろしく低い声であたしを呼んだ。
「お連れ様がお見えになりました」
襖の前で正座した女将が中に向かって声をかけ、引き手に両指を添えて横に滑らせる。10帖くらいのゆかしい和室。奥には広縁も見えた。
綺麗な正方形に区切られた格天井、広い床の間や細かい細工の欄間。中央には立派な黒檀の座卓が鎮座して、周りを座椅子が囲んでた。
居たのはひとり。上座の右脇に腰を下ろしてた濃紺スーツの長身が、ゆっくりこっちを見やった。瞬間。その場で氷の像になりかける。
無言で背景に吹き荒れてるブリザード。不機嫌さの迫力も榊の比どころじゃない。・・・・・・やっぱり兄弟、怒り方が瓜二つ・・・・・・。
「・・・・・・なにを突っ立ってる。こっちに来い宮子」
銀縁眼鏡の奥からマイナス100℃の冷凍光線を発射しながら。仁兄は恐ろしく低い声であたしを呼んだ。