愛は、つらぬく主義につき。 ~2
一見クールなエリートサラリーマンでも通る容姿だけど、中身は紛れもなく生粋の極道者。グレーのシャツに斜めストライプのネクタイを締めた三つ揃い姿は、哲っちゃんより切れ味するどいシャープな印象で。・・・・・・身が縮こまる。

「言っておくが俺と一緒になってたら、こんなもんじゃ済まさねぇぞ」

「・・・うん」

「今回は親父の顔を立ててやる。次はねぇからな」

「ごめんなさい・・・仁兄」

もう一度、深く頭を下げた。

「落とし前をどうつけるか覚悟しとけ」

「わかってる。好きにしてくれていいから・・・!」

顔を起こして真剣に。
目を眇めた仁兄は腕組みすると、なおも冷たく言い募った。

「だいたいが俺に断りもなかったろうが」

「仕事の邪魔したくなかったから・・・」

「宮子より大事な仕事なんざねぇよ」

不満げな溜息が漏れたかと思うと、伸びてきた手があたしの髪をくしゃっとして。

「真と連れ合いになろうが、お前は命の限り守ると決めた女だ。忘れるんじゃねぇぞ」

「・・・・・・ありがと、仁兄・・・」

言い方は素っ気なくて優しくはなかったけど。変わんない深い愛情が伝わってきて目頭が熱くなった。

「宮子にまでたかる害虫なら問答無用で俺が潰す、・・・誰だろうとな」

言って仁兄は、若頭代理の無慈悲な横顔を覗かせた。




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