愛は、つらぬく主義につき。 ~2
繊細で、美しく旬のものが器に彩られた八寸、焚き合わせにお造り。そのあとも焼物、蒸物と続いた。

真と仁兄はあたしに聞かせられる程度の話をしながら、哲っちゃんがお猪口を片手に静かに相槌を打つ。
こうして、いつもの定ポジションから外れて違う角度で眺めてると。真がすごく大人びて見える。哲っちゃんや仁兄相手に一歩も引いてないし、ちゃんと理屈も通した話し方してる。

隣りにいてばかりだと、ほんの横顔しか見えてないコトに気付かなくなるのかもしれない。ふと。

頭の隅をよぎり、お麩の味噌田楽焼き・・・だったかに箸を伸ばそうとして真向かいの仏頂面と目が合った。

「・・・・・・顔が恐いってば」

「・・・ほっとけ」

「まだ怒ってる、・・・でしょ」

上目遣いにぼそっと言ったら、すごい間を置いてから。

「・・・・・・・・・・・・ねぇよ」

「正直に言っていいよ?」

「くどい」

ぶっきらぼうに返って睨まれる。・・・よかった、いつもの榊だ。
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