愛は、つらぬく主義につき。 ~2
紗江とは高校からだけど榊は中学も同じだった。まあ家業的なもろもろの事情で学区外の公立学校に通うことになったら、たまたま榊の地元だったって縁。

生まれつきの目付きの悪さプラス、無愛想で無口で無駄にデカかった榊が上級生に目を付けられてたのを、これもやっぱりたまたま真が黙らせたのがきっかけで。そっからの長い付き合い。あたしも真も家が極道だってカミングアウトした時も『それが?』みたいな、どうでもいいカオしてたっけ。

相談してもないのに、実家(ウチ)からいちばん近いって理由で決めた私立高校に榊も願書出してたし、紗江と4人で一緒のクラスになったのも神サマのプレゼントだったのか。

昼休みも放課後もたいがい4人。休みの日に遊びに出かけても、榊は笑ったりはしゃぐコトがなかった。

オリエンテーションとか学園祭とかそれなりにあったイベントだって、言われたことを黙々とこなしてた風だったから訊いてみたことがある。

『榊ってさ、楽しいって思うことないの?』

『・・・・・・お前らといるのは楽しい』

青くさい会話だったけど。なんかすごく響いたんだよね、薄っぺらい言葉じゃないのが伝わってきて。

思えばもうすでに今の榊が出来あがってたなぁ・・・・・・。しみじみ思い出されてクスリと零れる。

「・・・なんだよ」

「んー? あたしを平気で怒鳴る男は榊だけだから大事にしないとって思ってさ」

「誰のせいだ、・・・アホが」

「あんたがそうやって教えてくれるから次を間違えなくて済んでるんだもんね。ありがと」

言って満面の笑みをほころばせると、居心地悪そうに目を逸らした榊。

「・・・・・・だからお前は」

「え?」

低く耳を掠めたのを訊き返したけど。いつも通り、つれなかった。




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