愛は、つらぬく主義につき。 ~2
あたしはありのままの本音を晒した。みっともなくても、榊がどう受け止めても。

視線が足許に落ちる。男物の黒いエナメルの靴先と向かい合う黒のパンプス。上履きだったあの頃から、あたし達はなにが変わってなにが変わらない・・・?

「・・・言えよ」

低い声が降り。顔を上げた。

「俺の命、残らずよこせって言え」

・・・すごく静かだった。凪いだ湖面みたいな深い色の眸があたしを見下ろしてた。

「ここで誓ってやる、お前に」

余計な言葉もない、でも伝わる。揺らがないでそこに在るもの。

袖を放さないまま、昔より精悍さの増した男をじっと見つめ返す。

杯の代わりに交わす約束。

(たが)えることのない。

「・・・きっとこれからも怒らせるし面倒かけると思う。何が返せるかも分かんないけど後悔だけはさせないように頑張る。だから」

死が二人を別つまで。

「榊の人生、あたしに全部ちょうだい」
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