愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「・・・このまま時限式の爆弾を抱えておくつもりはありません。廃棄処分は私の役目(しごと)ですので」

間があって。姿勢を正した相澤さんがおもむろに口を開いた。

「廃棄って、『なにもなかった』んだし、責任取る必要だって・・・!」

「これ以上、宮子お嬢さんを煩わせては織江にも顔向けができやしません。・・・ここは筋を通させてもらえませんか、自分を(おとこ)と見込んで」

淡く口角を上げ、でも最初から引く気はないのは目を見れば分かった。

「若にも不問だと言っていただいたその気持ちだけ、受け取らせてもらいます」

粛々と目礼すると相澤さんは正座の向きを変え、哲っちゃんに深く一礼する。
そして立ち上がった背中を追うようにあたしは声をかけた。

「高津さんは、相澤さんを自分に向かせたいだけなんじゃないですかっ?」

襖の手前で横顔を僅かに振り向けた相澤さん。
あの人は分からずに求めてるのかもしれない。消そうとしてるモノがほんとは何なのかを。

「全部が憎しみなら、とっくに終わらせてるハズです・・・!」

「・・・・・・・・・それが道を誤りすぎた理由にはなりません」

静かに言い切り、戸の向こう側へと黒のスーツ姿が吸い込まれて消えた。




本当は。相澤さんも分かってるのかもしれない。高津さんの歪んだそれには名前がついてるんだってことを。




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