愛は、つらぬく主義につき。 ~2
リビングで晩酌の続きをするらしい哲っちゃんと仁兄にもきちんと挨拶したあと、先に離れに向かった真を追いガラス張りの廊下を急ぎ足。
部屋のドアを開けた途端、松葉杖の滑り止めも兼ねたカーペット敷きの床の上には、上着やらネクタイやらワイシャツやらが点々と散らかってる。手前から拾い集めてくと、ベッド脇にベルトも外してないスラックスと靴下、上にはボクサーパンツ一丁の男が仰向けに転がってた。
「・・・お風呂入れてこよっか」
あたしが優しく訊くと目を瞑ったままの生返事。そのまま行こうとして。唐突に腕を強く引っ張られた。抱えてた洗濯物が宙を浮く。
「ひゃっ」だか「きゃっ」だか分かんない声が飛び出て、気が付いたら真があたしの上に乗っかってる。間近であたしを見下ろして、なにかを堪えてる眼差しで。
「・・・オレね。今日ほど脚が動かないテメーを呪ったことってねーの」
その一撃で最初から心臓を抉られる。・・・あたしのじゃない。必死に言い聞かせる。この痛みは真のなんだから泣くな、あたし・・・!
「誰に見くびられようとそんなのは、跳ね返すだけの実力をつけりゃ済むんだよ。けどオマエのコトだけは、どうにもなんねーんだなってさ」
真の口許が歪んだ。笑うのかと思った。でも見えなかった。
ジャケットを着こんでる肩口に埋まった吐息。身じろぎ一つしないで圧しかかる逞しい上半身。・・・まるであたしのカタチを変えるんじゃないかって思えるくらい、潰されそうに苦しい重力を感じてた。
きっとそれは愛で。
愛から生まれる歪で。
愛してるほど重たいもので。
だから骨が砕けても受け止めるよ。
真の頭の後ろと背中を抱いて。あたしは目を閉じた。
部屋のドアを開けた途端、松葉杖の滑り止めも兼ねたカーペット敷きの床の上には、上着やらネクタイやらワイシャツやらが点々と散らかってる。手前から拾い集めてくと、ベッド脇にベルトも外してないスラックスと靴下、上にはボクサーパンツ一丁の男が仰向けに転がってた。
「・・・お風呂入れてこよっか」
あたしが優しく訊くと目を瞑ったままの生返事。そのまま行こうとして。唐突に腕を強く引っ張られた。抱えてた洗濯物が宙を浮く。
「ひゃっ」だか「きゃっ」だか分かんない声が飛び出て、気が付いたら真があたしの上に乗っかってる。間近であたしを見下ろして、なにかを堪えてる眼差しで。
「・・・オレね。今日ほど脚が動かないテメーを呪ったことってねーの」
その一撃で最初から心臓を抉られる。・・・あたしのじゃない。必死に言い聞かせる。この痛みは真のなんだから泣くな、あたし・・・!
「誰に見くびられようとそんなのは、跳ね返すだけの実力をつけりゃ済むんだよ。けどオマエのコトだけは、どうにもなんねーんだなってさ」
真の口許が歪んだ。笑うのかと思った。でも見えなかった。
ジャケットを着こんでる肩口に埋まった吐息。身じろぎ一つしないで圧しかかる逞しい上半身。・・・まるであたしのカタチを変えるんじゃないかって思えるくらい、潰されそうに苦しい重力を感じてた。
きっとそれは愛で。
愛から生まれる歪で。
愛してるほど重たいもので。
だから骨が砕けても受け止めるよ。
真の頭の後ろと背中を抱いて。あたしは目を閉じた。